今年のマイルチャンピオンシップは、G1の舞台にも関わらず、現在の日本競馬界のトップ2である武豊、安藤勝己両騎手ともに騎乗しない非常に珍しいレースになった。いつものG1なら、どちらかが有力馬を駆り、良くも悪くもレースの中心を形成していくにも関わらず、このレースでは参加さえしないという点に、レースの混迷度が見て取れる。
人気の中心は8歳馬ながら、この秋毎日王冠、天皇賞秋を制し、これを最後に種牡馬になることが決定している4カンパニー。両レースともに現役最強馬であるウオッカを降しての勝利だけに、その価値はここに来て漸く高く評価され、前2走は10倍を超える単勝オッズだったにも関わらず、今回は前売り段階で2.6倍の一番人気に奉られている。
しかしメンバー的にいかに優位であっても、マイルの連対率実績は50%を下回り、トータル戦歴でも連対率が50%を切る老兵には、かなり過剰人気にも見える。いかに完璧な仕上げを施されたとしても、この先重要な仕事を控える馬の引退レースが全力であることはない。絶対避けなければさらない事態が故障である以上、極限の実力を出せる筈がないし、またそうであってはならないのは当時者にとってあたり前のこと。過去の事例を紐解いても、完璧な成績を誇った日本競馬の歴史に名を刻むタイキシャトルでさえ引退レースが3着であったことを考えれば、手薄なメンバー相手としても4カンパニーの単勝に食指を動かされることはない。
むしろ予想は逆に行くべき。逆の発想とは、引退のはなむけは決して勝利して終わることではないという思考。老兵への引退の最高のはなむけとは、若い力の台頭であるべきという考え方である。
相撲で例えるなら、初代貴乃花の引退には千代の富士の台頭があり、、また千代の富士も貴乃花の実の息子である貴花田の台頭で引退を悟るのである。
競馬に於いてもしかりである。若い力の台頭を知り引退するのが老兵の美学であり、それこそが勝負の世界ではいつの時代も変わらぬ理なのである。
ならばここでの台頭を期待する馬はどれか?それには現状の競馬を考える必要があるだろう。ひとつ言えることは、今年の3歳場は芝、ダート問わずに強い。これは古馬の層の薄さにも起因しているのだろうが、土曜に行われた福島メインの福島記念G3でも京都メインのトパーズステークスでもいずれも勝ち馬が3歳馬であることからもその一端は見て取れる。
その土曜の福島記念G3の覇者サニーサンデーをラジオ日経賞で破ったのが、14ストロングガルーダである。ラジオ日経賞では後に神戸新聞杯をレコードタイムで制するイコピコも参加しており(勝ち馬ストロングガルーダから0.2秒差の4着、田中勝春騎乗)、その意味では勝利の価値も高いと言える。
ならば大穴の部類になるが、3歳馬の14ストロングガルーダに期待してみたい。
かつては一番堅いG1レースとして君臨したマイルチャンピオンS。しかしそれでも馬連の時代に10万馬券を輩出したことのあるレースでもある。荒れの部分で言えば、今年もそれに負けず劣らずの波乱の要素はプンプンと臭っているのは間違いないところだと思うのだが。
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